Microsoft IME – WindowsとOffice、バージョンによる違いと使い分けについて
この記事の内容著者: 佐藤 良治
はじめに
皆さんはパソコンを使い、何か日本語を入力するときに、キーボードからひらがなかローマ字で読みをタイプし、それを変換して入力することを、毎日、行っていると思います。その漢字に変換しているものがIMEです。IMEとは、Input Method Editorの略称です。
ところで、Microsoftから提供しているIMEには2つの系列があります。Microsoft Windowsに搭載しているものと、Microsoft Officeに搭載しているものです。本記事では、それらがどう違うのか、どう使い分ければいいのか、についてご紹介します。
* なお、Microsoft Office IME 2007は、2007 Microsoft Office Service Pack 1をインストールした上でご利用ください。
2つのIME
Microsoft Windowsに組み込まれているIMEと、Microsoft Officeに含まれているIMEとは、ちょうど、ワードパッドとMicrosoft OfficeのWord、Outlook ExpressとMicrosoft OfficeのOutlookのように、「ほぼ同じ機能があるけれど、こまかい機能が違う」という関係にあります。
例えばWindows VistaのMicrosoft IMEと、Microsoft Office IME 2007とでは、以下のように、見た目上、言語バーに表示されるIMEのブランドアイコン(言語バーの一番左側のアイコン)が異なります。
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| Windows VistaのMicrosoft IME |
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| Microsoft Office 2007 IME |
ちなみに両者を使い比べるためには、ある設定が必要です。Microsoft WindowsがインストールされたパソコンにMicrosoft Officeをインストールしていない場合、WindowsのIMEが既定で利用できます。そこにMicrosoft Officeを入れた場合、WindowsのIMEの代わりに、Microsoft OfficeのIMEが既定となります。二つのIMEがあると紛らわしいので、Microsoft Officeのインストール時にはWindowsのIMEが使用できない状態になりますが、Windows IMEも同時に利用可能な状態に変更することができます。既定の日本語入力システムを Windows Vista 標準の Microsoft IME に設定する方法をご参照ください。Windows IMEを利用可能にすると、以下のように言語バーで2つから選択することができるようになります。
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| Microsoft Office 2007 IME |
なぜ2つの系列があるのでしょうか? それはWindowsとMicrosoft Officeのユーザの違いに対応します。Windowsの用途はさまざまです。インターネットやメールやコミュニティを利用したり、音楽をダウンロードして管理することのために、主に使っているかも知れません。一方、Microsoft Officeのユーザは、Wordで上に報告するための文書を書いたり、Excelで在庫を管理したりなど、業務に使うことが中心でしょう。入力も、利用範囲の限定されない場合と、業務が主である場合とでは、必要とされる機能が異なってきます。前者のためには基本的な変換の質が重視されます。後者のためには、業務でよくあるようなシーンに適した機能が求められます。このように、2つの系列は、ユーザの違いに応じてその重視するところが異なります。
機能の説明
それでは、Windows VistaのMicrosoft IMEと、Microsoft Office IME 2007との、機能的な共通点、相違点はなんでしょうか?以下にまとめましたので、ご覧ください。まず、両方に共通な機能についてご説明します。
サポート文字集合の拡張 | ○ | ○ |
変換文字制限 | ○ | ○ |
2つの編集モデルの統合 | ○ | ○ |
変換エンジン | IME2003と同じ | Trigram |
Outlook辞書 | x | ○ |
SharePoint辞書 | x | ○ |
追加辞書の候補を候補一覧から呼び出す機能 | x | ○ |
予測入力 | x | ○ |
辞書更新サービス | 郵便番号辞書 | 最新語辞書、郵便番号辞書 |
サポート文字集合の拡張
VistaのIMEやMicrosoft Office IME 2007では、JIS X 0213:2004という新しい標準をサポートし、使える文字 が大幅に増加しました。また、IMEの変換候補ウィンドウで、印刷のための標準字体なのかどうかなどをお知らせします。IMEパッドの文字一覧でもサポートしています。
JIS X 0213:2004に関する詳細については、日本工業標準調査会の「JIS X 0213:2004に関連する情報について」をご参照ください。
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| サポート文字集合 |
サポート文字集合の充実は、人名、地名など日常生活でも業務でも役立ちます。
変換文字制限
インストールしているオペレーティングシステムや、使用しているアプリケーションによっては、使えたり使えなかったりするような文字があります。そのような文字を環境依存文字と呼びます。VistaのIMEやMicrosoft Office IME 2007のいずれも、環境依存文字を、変換結果や候補に使わないなどの設定ができます。
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| 変換文字制限 |
入力に使う文字の範囲がWindows上で拡大される伴い、どのようなソフトを使おうと、利用する文字の範囲を指定する機能は重要となります。
なお、企業では、従来利用してきたシフトJISの文字だけに制限したいというニーズがあります。Microsoft Office 2007 IMEのSP1では、シフトJISの文字だけに制限するというOptionを追加しました。
2つの編集モデルの統合
IMEのバージョン2003には、編集の方法が2つありました。「Natural Input 2003」 と 「IME Standard 2003」 です。「IME Standard 2003」は、これまでのIMEの編集操作をサポートしていました。変換を確定する前の変換途中の文字列に対して、カーソルの移動によって文節単位で移動したり、Back spaceで読みに戻したりなど、特殊な操作をサポートします。一方、「Natural Input 2003」は、確定する前の文字列と確定済みの文字列とで編集操作をできるだけ統一しました。たとえば、Back spaceキーはいつも直前の1文字の削除、左右上下の矢印キーは常にカーソルの移動でした。現在最新バージョンのVistaのIMEやMicrosoft Office IME 2007では、いずれも、この2つの長所を統合して、編集方法は1つだけになりました。最新のIMEでは、文節単位でも文字単位でも、初心者から経験者の方まで、違和感なく意識せずに直感的に編集可能になりました。下図の「文字単位に編集」というところが、「Natural Input」のよいところをStandardに統合した部分です。
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| 編集操作 |
編集操作は、毎日、何度も繰り返すことです。業務、生活といった利用シーンにかかわらず、重要な機能です。
Microsoft Office IME 2007特有の機能
次に、Office IME 2007に特有の機能についてご説明します。
Windows XPまでは、WindowsとOfficeのそれぞれに搭載されているIMEは、ほぼ同等の機能でした。したがって、Windows XPのIMEは、Office XPのIMEとほぼ同等です。Windows VistaとOffice 2007からは、それぞれのIMEに機能の差があります。この項に書かれた機能はOffice 2007に特有の機能ですので、Windows VistaのIMEには含まれません。これらは業務に使うOfficeに特化した機能であるか、スピードの要求されるビジネスにとりわけ重要である機能です。
変換エンジン
VistaのMicrosoft IMEは従来と同じエンジンを使っています。一方、Microsoft Office IME 2007はトライグラムと呼ぶ新しいエンジンを使っています。従来型は、隣の単語どうしの品詞のつながりやすさを文法にしていますが、トライグラムは3つの単語のつながりやすさを文法にしています。
Outlook辞書
Outlook 連絡先、Exchange グローバル アドレス帳を IME の辞書として活用できます。候補一覧のコメント ウィンドウに、会社名や部署名などの補助情報が表示されます。それを参照しながら同じ読みの異なる姓 (例:渡邊さん、渡邉さん) を正しく入力するなどができます。
SharePoint辞書
Microsoft Office SharePoint Server 2007 上の、部門で共有している情報を、直接変換に活用することができます。候補一覧のコメント ウィンドウの中に、自動的に SharePoint のリスト データが表示されます。
追加辞書の候補を候補一覧から呼び出す機能
候補一覧に目的の候補が表示されていなくても、一覧の一番下に [人名地名] などという候補が表示されている場合は、その候補を選んで Enter キーを押すと、候補が追加表示されます。使う辞書の設定をプロパティで変更したり、一般や人名/地名など変換モードを変更したりしなくても、現在使っていない辞書の単語を簡単に参照できます。
予測入力
過去に入力した文字列と同じ文字列を数文字タイプしただけで、自動的に予測候補が表示されます。
辞書更新サービス
VistaのMicrosoft IMEでは、郵便番号辞書の更新サービスを提供しています。IME 2003およびMicrosoft Office IME 2007では郵便番号に加えて最新語辞書の更新サービスを提供しています。これは、ユーザの皆様から頂いた単語登録レポートや誤変換レポートに基づいたものです。「あなたが方向づけるあなたのツール」 をご参照ください。
終わりに
今回は、Microsoft IMEには2つの系列があり、目的が異なるものだということをご紹介いたしました。使う目的によって、ご活用いただければ幸いです。
作者について

マイクロソフト・ディベロップメント株式会社
オフィス サービス プラットフォーム開発統括部
インプット メソッド テクノロジー
シニアマネージャ 佐藤 良治
日本語入力システムMicrosoft IMEの開発や、SharePoint Serverの検索などの開発を行っています。